年納めの紅花染め

今年の染めおさめということで、最後の染めは紅花。

紅花といえば、昔は高貴な一部の人しか身につけられなかった色。
そもそも紅花で染めるのは何が大変かというと、
まず材料集め。
紅花には鋭く硬い棘があるので、
朝露で濡れて柔らかくなった頃に花弁を採取する。
花弁をそれなりの量採取するにはかなりの労力が必要なこと。

そして、紅花の花弁には黄色色素と赤色色素が含まれている。
黄色色素をサフロールイエローといい、
赤色色素をカルタミンという。
この赤色色素が1%程度しか含まれていない。残りは黄色色素。

ということは、色素が少ないので、
赤く染めるためにはかなりの紅花が必要なことが分かる。

黄色色素と赤色色素は性質が全然違うので、紅花染めは独特の方法で染める。

まず黄色色素は、水に溶けて、熱にも強い。
そして綿や麻をそのまま染めようとしても全く染まらない。
絹やウールなどのタンパク質素材だと染まる。
綿や麻を染めるためには下地処理が必須。

次に赤色色素は、アルカリ水によく溶けて、熱に弱い。
40度以上に水温を上げない方が良い。
水温が低い方がよく抽出できるので、冬の冷たい水を使うと良いのだそう。
絹やウールはもちろん、綿や麻を染めることができる。

紅花で赤く染める場合には、
まず黄色の色素を水中でよく揉み出す。

綿や麻素材を染める場合は多少黄色色素が残っていても、
黄色色素が染まらないので、私はこの工程を適当なところで終わらせた。
かなりしつこく洗わないと、洗っても洗っても黄色の色素は出てくる。

次に、赤色色素を出すために、アルカリ性の水を作る。
昔は藁を燃やした灰汁を使っていたそう。
ソーダ灰という染料店に売っているアルカリを入れてアルカリ水に。
このアルカリ水の中で紅花をよく揉み出す。
左の写真は水の中で揉み出した紅花。
右の写真はアルカリ水の中で揉み出した紅花。
最終的には赤い色素が抜けて紅花の色は黄色っぽくなった。


アルカリ水の中に赤色色素があるので、色素を繊維につけるためには、
水のpHを中性〜弱酸性まで酢酸やクエン酸を使って調整する。
これをしないと赤色色素で繊維を染めることはできない。

染める時には、染液の中に布を入れて温度はそのままで染める。
紅花の色は草木染めでもびっくりするぐらい鮮やかな色に染まる。

初めて紅花で絹糸染めた時には、
草木染めでこんな色が染まるとは・・・と驚いた。

下地処理をしないで染めたサラシはピンク色に染まって、
濃染剤で処理をしたストールは黄色色素も染まるので朱色に。

紅花染めは紫外線に弱いので、何度も染め重ねた方が良いのだろうけれど、
貴重な紅花染めは1回で終わり。
ちなみに、今回使った紅花は生薬として販売されていて、
漢方薬を扱っていた父親が所持していたもの。
どうせ使ってないんだからと言って、半ば強引にもらった紅花だったりする。

ちなみに、水洗いして出てきた黄色の色素は通常の草木染め同様、
温度を上げて煮染めすることができる。

来年も色んな植物を使って染めていきたい。
今年は紅花染めでおしまい。

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