先日、まだ使ったことがない染料で染めた時の話。
昔から染料として使われていて、
今でも染料店で販売されているキハダ。
キハダには、防虫作用があるので重要な書類を保管するために、
紙を染めていたけれど、光によって変色しやすいために、
インジケーターの役割もしていたという古代から使われていた染料。
ミカン科キハダ属の落葉高木。
樹皮は固いコルク質で、その樹皮を取り除いた
内皮が鮮やかな黄色をしている。
この黄色い色素は少し特殊なようで、
植物繊維(綿、麻など)とも相性が良いので、
通常植物繊維のものを染める時に行う
下地処理をしなくても染まるし、
色素の発色や定着を良くするための
媒染をする必要がないとも言われている。
試しに、綿生地を下地処理はしないで染めてみることに。
媒染に関しては、本に掲載されている色見本を見ると、
媒染の種類によって色が違うので、
アルミと鉄の二つをやってみることにした。
今回染めた布は、ふきん2種類。
漂白されている綿で厚みもそこそこあるため、
そこまで染まらないかもしれないだろうと予想しつつ。
キハダを煮出していると、漢方薬の匂いが漂う。
それもそのはず、キハダは漢方では黄檗(おうばく)と言って、
有名な正露丸にも入っている生薬の一つ。
煮出した液を少し味見すると、かなり苦い。
苦味は清熱、解毒などの働きがあり、
胃腸薬、整腸剤の原料として使われている。
炎症を抑える効果もあるので外用にも。
どちらの液も混ぜて布を染めたところ、
染液自体はかなり鮮やかな色に見えたものの、
布にはあまり付いていない気がする・・・
染めたふきんはこんな感じに。
染まりにくそうな布だったから、
まぁこんなものかなと思いつつ、
やっぱり下地処理した方がもっと濃く染まるんじゃないかと。
今回は、別に濃い色にしなくて良いのでこれはこれで良しとして。
次回綿をキハダで染める時には、下地処理をしてみようと思った。
今回キハダを染めて感じたのが、
一般的にこうだと言われていることも、
一度は自分でやってみて確かめることが大事なことだと。
そんなの当たり前だと言われているようなことも、
あえてやってみると新たな気づきがあるかもしれない。
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