草木染めと諸行無常の精神

先日、知人から少し高価な草木染めの製品を買って、そのまま数年置いていたら、
色が褪せてしまったという話を聞いた。
そこで今日は、草木染めの取り扱いについて。

その前に、なぜタイトルに諸行無常と書いてあるのかというと、
諸行無常とは、
この世のものは、たえまなく変化をしている
という真理。
これが草木染めにも言えることだなぁと思ったから。

いやいや、この世のもの全てに言えることだから、草木染めに限ったことでは無いよと思った方、

….その通りです。

でも、変わってほしく無いのも人情。
自分のことを好きだと言っていた人が、
突然自分のことを好きじゃなくなったら、寂しく思う。

それはさておき、
草木染めの色合いが好きで、洋服を買ってみたら、色が段々薄くなり、
最初の色と随分変わってしまった…
などと草木染めのものは色が薄くなったり変化しやすい。


特に、紫外線によって色素が分解して薄くなりやすい。
もうかれこれ15年以上前に、ニュージーランドで1年間暮らしていた。
ニュージーランドは、日本よりも紫外線が5、6倍強いと言われていて、
本当に夏場の服の退色が早かった。
化学染料でも退色しやすいということは、
植物染料はもっと退色しやすい。

例えば、ブルーベリーや葡萄の皮などに
含まれる赤、青、紫系のアントシアニン色素は、1回洗濯して外干ししただけでもかなり変色する。
赤みが抜けて、灰色っぽくなる。
例えば、以前葡萄の皮で染めたレッグウォーマーは、下の写真のように変化。

画像
染めたてのレッグウォーマー

他の洗濯物と一緒に外干ししたら↓

画像
1回洗濯(外干し)


草木染めのものは、紫外線の他に、
食べこぼし、汗、蛍光灯、大気、金属、酸アルカリなど
色々な影響を受ける。

そこで、自分で染めた服や小物類をどうしているかというと、
洗濯する時には、ネットに入れて中性洗剤で洗って陰干しをする。
(ただ時々忘れてしまう…)
そして保管は、クローゼットの中でなるべく光が当たらないようにする。

草木染め製品を扱っているお店の取り扱い方法を見ると、
お店によって多少の差はあるけれど、1番多いのは、中性洗剤+陰干し。

さらに、草木染め製品は、布の状態で染めたのか、糸の状態で染めたのかによっても色の変化は違う。
糸の状態で染めた方が変化しにくい。

また、全ての染料に対してでは無いけれど、
植物性繊維(綿、麻など)よりも動物性繊維(シルク、ウールなど)の方が
染まりが良くて色持ちも良い。


ただ、1番良い方法は
自分の心持ちを変えること。
草木染めのものは、そういうものだと。
どんなに丁寧に扱っても、色落ちしたり、色変わりしたりするもの。

とはいえ、
1000年以上前に染められた布が未だに
鮮やかな色を保って保管されているので、
相当の染料と相当の手間と時間をかければ不可能ではないのだろう。
自分には到底できないけれど。

色が褪せたり変化していくことを受け入れて、
他の色に変えようと思ったら、
また違う色を染め重ねれば良い。
そうやって草木染めを楽しんでいけたら良いなと思う。

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