草木染めの染液は低温で染められるのか試してみた結果・・・

研究開発というと、どんな仕事を想像するでしょうか?

何か新しくて奇抜なものを作り出すことでしょうか。

アイディアとは、
既存の要素の新しい組み合わせ
だと言われています。

研究開発も同じで、
今あるものが、
もっとこうなったら良いなと
思うことから始まることが多いものです。

私が某会社で勤めていた時には、
お客さんからこんなことを言われました。

もっとコストがかからない方法はないの?

この工程をもっと短くできないの?

何か他の方法はないの?

皆さん、好き勝手なことを言います・・・

とはいえ、専門家ではない人の意見は、
実は大事なこと。

例えば、自分が他の人よりも詳しいと
思っている分野では、
その分野での常識のようなものがあります。
そのせいで、これって本当なのかと疑わず、
鵜呑みにしてしまうことも度々あります。

やりもせずに、
若しくは違う方法を考えもせずに、
鼻からそんなことはできないって
思ってしまうのです。

そんな経験はありませんか?


前ふりが長くなりましたが、

とある人から、
その方が勤めている老人ホームの
レクレーションの時間に、
草木染めをできるんじゃないかと
提案がありました。

参考にと言われて、
Instagramの写真を見ていると、
座って作業するのが前提。
当たり前といえば、当たり前ですが。


草木染めは、
基本的に温めた染液で、
染めるのが一般的です。
個人差はあると思いますが、
60℃ぐらいでしょうか。

温度を上げた方が、
色素(分子)が活発に動くので、
布が濃く染まりやすくなるのです。

座った状態で、
高温の液を扱う作業は危険なので、
それは無理じゃないか
と思ったものの、
温度が低いと染まらないものなのだろうかという疑問が。

大抵自分が染色する時には、
染液を60〜70度ぐらいにして
染めていたので、
低温で染めるという発想がそもそも無い。

高温にしないで染められたら、
例えば、小さな子どもにも楽しんで
もらえると思ったので、
ものは試しに実験してみました。


染液は、先週末作った笹と枇杷葉の
2種類の染液が残っていたので、
それを使うことに。
ちなみに、笹の染液からは枯草菌の匂い。


綿のさらしを濃染剤で処理し、
焼きみょうばんで媒染をしたものを用意。

染液の温度を
17℃(液温)、30℃、40℃、
50℃、60℃の5種類用意し、
10分間布を浸漬。

笹染液
枇杷葉染液


それぞれの結果はこちら↓


意外と低温でも染めることができるという結果に。

枇杷葉の染液は、
40℃以上の方が濃く染まるものの、
40℃だったら、火傷の心配は無いかと。

今回は、綿を染める時には、
染液を高い温度にしなくても
染液によっては、
十分に染めることができると分かりました。

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